大阪育ちのナガサキが熊本ではたらくブログ

~東京生活を捨て、妻と子供と熊本へ移住をし、地方の可能性を発信する夢見がちな一般ピーポーの日々~

電力自由化について僕が知っていることの話

      2016/04/14

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2016年4月から電力自由化

これまでの社会人経験は全般的にエネルギー関係だった。
2007年の社会人スタートのタイミングでは、2016年の電力自由化なんてのは
全く分かっていなかったし、発想としてそこに関わっていくみたいなのも
1ミリも無かった訳だけども、震災後から特に2016年4月の電力自由化までに
何をするかってことは強まっていったし、自分をその渦中に置くようにしてきた。
その時から考えると、いよいよきたかという2016年4月であると思う。
結果として、自分は今そのプレーヤーに属してはいないんだけども、
大事なことってこういうことじゃないのと思うことはある訳で、そこについては
説明しておきたいと思いますし、誰かの何かの参考になれば、それはそれで
すごく嬉しかったりする訳です。
で、難しくやると自分でも把握できないぐらい話が深かったり専門的だったりするので、
あえてざっくり書こうと思いますし、ざっくり書いてるつもりでも長くなりそうなので、
そんなもんか程度で見ていただけると適切かなとおもちょります。

で、今の熊本の周りの感じ

九州はオール電化普及率が高くあんまり聞こえてこないのが、
正直なところ(このオール電化だとなんで聞こえてこないかは後ほど、
説明します)。震災後すぐに自由化とかになっているともうちょっと
違ったんだと思うところもありますが、まぁほんとほとんど聞こえてこない。
あくまで自分の生活スペースの範囲だけども。
どちらかというとプロパンガス会社の値段が高すぎて(一人暮らしで普通に生活
してるだけで、一カ月8,000円とか取られるとこもある)、そちらの話題の方が
切実だったりしている。

電力自由化ってなに

もしご興味ある人は下記サイトなんかで、一度がっつり見てみて
くださいませ。僕はざっくりいきます。
参考:エネチェンジ
https://enechange.jp/

簡単に言うと今まで下記の3人の役割がこれまで、
地域毎の電力会社(東電とか関電みたいな)で全部やってましたよと。

・発電する人
・送電する人
・販売する人

電気を作るのも、その電気を流すのも、その電気売るのも
全部同じで一社独占、基本的には競合なしの、消費者は言い値で
買うしかないという状況だった訳です。
こりゃいかんですねってことで、段階的に電力会社以外の企業も
電力の販売ができるようになっていって(法人を中心とした電気は
2005年頃から販売ができるようになっていました)、今回いよいよ
家庭にまで販売ができるようになった訳です。
参考:電力システム改革の流れ
http://www.tepco.co.jp/electricity/energy_situation/reformation.html

しかしながら、家庭用が自由化になっていなかったからか、電力会社以外から
電気が買えることについては、あまり知られていなかったですし、これから
その認知度が上がることで変わっていくこともあると思います。

で、新規参入企業は儲かるの?

上記のようにこれまでは、家庭用以外の範囲が自由化されていたので、
その自由化領域で最もシェアが高い企業がエネットというところです。

PPSシェアランキング
http://j-energy.info/?page=kouri_jigyousha
エネット
http://www.ennet.co.jp/

あまり知られていないと思いますが、これまでの自由化領域でのシェアは40%あり、
http://enesuke.jp/re9/4463
NTTファシリティーズ40%、東京ガス30%、大阪ガス30%の資本構成という
圧倒的な会社でした。
(なぜか過去系になってしまったのは、どこかでエネットの影響力が落ちると感じて
いるからでしょうか・・・)

で、首位エネットの商売規模ですが、
年間販売電力量 11,930,604,000kWh
(一般世帯約300万件分相当 ※4,000kWh/年間として)
売上    2,411億円
売価平均  20.2円/kWh
経常利益  48億円
利益率   約2%
参考:エネットwikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88

どうでしょうか。
けっこーしょっぱい気がします。
ただ、家庭用の方が法人用よりも3-4割程度価格単価が高い感じなので
(感覚値であり、詳しく調べてませんが・・・)、これからはもうちょっと違う値に
なると思います。
しかしながら、電気を買ってきて、電気を売っているだけのビジネスモデルなので
あんまり儲からないと考えて良いとは思います。

電力ビジネスの難しいところ

電気という、いきなり安く仕入れられないものを、それなりの値段でしか
売ることができないので、なかなか儲かりづらいんじゃないかというところ
もあるんですが、最も根本的な難しさに「電気は溜められない」というのが
あります。
在庫が出来ず、今使います!って瞬間にそこに電気が流れてないと、意味が
無い訳ですね。
この性質を持っているので、電気を販売する新規の参入業者もそれに基づいた
運用ルールが課せられます。
これを「30分同時同量ルール」といったりします。
例えば、僕が電気を売ってるやつだったとして、自分の顧客達は
この時間にこれぐらいの量の電気を使うはずで、それに合わせて
このぐらいの量の電気を仕入れてきたから、停電とかしません!
みたいなのを、48コマ(24時間の30分毎)の表に記載して、
前日までに電力会社に提出しなければなりません。
とにかくお客さんが使う量を予想して販売しないと駄目よになってる訳です。

でも、いきなり寒くなったりとか暑くなったりすると、思ってる以上に電気を
使ったり使わなかったりするので、予想はけっこう難しいです。
外れるとどうなるかって言うと、ここで「送電する人」の登場で、
送電する人は現在インフラ設備を持っている電力会社が担当しています。
電気を販売する場合、送電網を使わないと出来ませんので、「託送料」という
送電網使いまっせという使用料を払わないといけません
(上記の48コマ予定表は送電する人である、電力会社に対して提出しています)。
で、その送電網使います契約をする時に、君が予測した値が3%ズレたら
ペナルティねって内容も入ってて、例えば100使うと予想してたけども、
お客さんが110使ってしまったら、7がペナルティとなって、売値の2-3倍の
金額を送電する人に支払うことになります。
そのおかげでお客さんは普通に考えれば停電するところを(こちらが100しか
送ってないので)、送電する人が足らない分を自動的に供給するので停電せずに
使えると言うことになります。

なので、かなり薄利な商売なんですけど、予想を外すと下手すれば
利益すらなくなっちゃうみたいな世界な訳です。

※でも、この運用ルール変わったんですね。考え方自体に大きな
変更は無いみたいですが、ペナルティの額とかは変わったみたいなので、
これまた利益ベースでは変わってくるかもですね。
参考:託送制度の変更
http://www.hepco.co.jp/business/retail/pdf/new_consignment.pdf

ターゲットは低負荷率

やっぱ色々シビアよねっていう感じなんですけども、販売業者から見たら
儲かるお客さん、お客さんからしたら電気代が下がりますっていうターゲットが
やはりいます。
電気料金はよくも悪くも公表されているものなので、人によって単価の安くなっている
みたいなのは原則ありません。
そんな中で、儲かるお客さんは誰かというと、電気を余り使って無い方になります。
(よく使う方がお得ですみたいなのと、逆をいく感じでちょっと難しいですが、
伝われば幸いです。)
携帯で例えると電話かけ放題、パケ放題の契約をして月12,000円とか
払ってるのに、時々メールしかしませんみたいなイメージです。
プラン変えるだけで、半額なりますよみたいな。
こういうターゲットを低負荷率客と言います。

例えば下記のようなお客さんはめちゃ儲かります。
基本料金契約:1684.8円/kW
電力量料金:17.22円/kWh

50kwの契約で5,000kwh/年間しか使わないお客さんは、
5,000kwh÷50kw÷24(時間)÷365(日)=負荷率1.1%

1684.8円×50kw契約=84,240円/月
84,240円×12カ月=1,010,880円/年間
5000kwh×17.22円=86,100円/年間

1,010,880円+86,100円=1,096,980円/年間
1,096,980円÷5,000kwh=219.3円/kwhの売価

エネットの平均売価が20円というところに対して、
上記がいかに高いかが分かるかと思いますが、
こういうお客さんはそんなにはいません。
上記の携帯のお客さんがそんなに居ないのと同じだと思います。
今すぐ安くなるか比較見積!みたいなのは、基本的に上記の考え方に
照らし合わせて、割高分を安くできるのかというところに帰結しているはずです。
従って、オール電化ユーザーがあまり盛り上がってこない理由は深夜時間帯の
電気料金がそもそも安いことと、その時間に多く電気を使うように機器が設定
されているので、それなりに安い価格帯に既になっているからというところが
起因しています。

で、これからは・・・

自由化のメリットは選べて、安くなり、いろんなサービスを使えるように
なりますみたいな訳で、これは歓迎すべきことなのですが、
安くなりまっせを突き詰めていくと、本当かどうかは分かりませんんが、
原発は原価が安いとなってる訳です。
http://president.jp/articles/-/15782?page=2
もっと、安くしようとした時はやっぱ原発よねみたいなことも言えるかもしれません。
ユーザーの安い電気が欲しいというニーズを満たす為、
どんどん稼働させますみたいな。
稼働が出来たので、来月からもっと安いプラン出来ました!みたいなのを
やった場合に、そちらを選ぶ人も出てくるかもしれません。
個人的にはこのストーリーを余り望んでいないので、イーロンマスク率いる
テスラモーターズの蓄電池ビジョンをけっこーちゃんと応援しています。
http://www.gizmodo.jp/2015/05/power_wallpower_packgigafactor.html

このスライドも面白いです。
http://www.slideshare.net/HiroshiUeda1/ss-48236708

電気の難しさは、「溜められない」ことです。
ここが安価で出来るとなると間違いなく、運用が変わる訳です。
自然エネルギーはおそらく本気出せばもっと安くできるのでしょうけども、
電気の出てくるタイミングが不規則すぎて、30分同時同量ルールには全く合わず、
メインストリームに上がりづらいのが現状です。
しかしながら、イーロンのビジョンでは、

このPowerpack(テスラの蓄電池)、1億6000万個でアメリカ中の、9億個で全世界の
電力がまかなえます。また20億個あれば、移動や暖房などあらゆることにかかる
エネルギーを代替できると試算されています。

20億個というと、とんでもない数字だと思うかもしれないが、
今地球上には20億台の車が走っている。
我々は20億台という数字を既に実現している。
Elon Musk

をやろうとしていることを発表するその姿勢こそが、世界中にフォロワーを作り、
少しずつ世界を良い方向に向けていくのだと思います
(パナソニックのOEMになる模様ですが、パナソニックがこういうことを言わないところに
リーダーシップの違いがあるのかなとも感じます)。
なので、目先の自由化で色々と変わっていくのですが、僕の中の選択肢は
やはり持続可能なあり方でのエネルギーの使い方が出来るということが重要
だったりするので、その波が来た時には即座に反応したい訳です。
まぁ、だいぶ先っぽいですが・・・
その時には、全部買えるやつになっていたいですが・・・

ほな

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